あるきっかけで、2000年から日本と東南アジアの往復が始まり、地元の人々の自立を応援することに…。NPOの協力を得ながら、ミャンマー人と生活を共にし、互いの得意技&共通点を発見しつつ、無くさないで欲しい現地の人々の心意気と生活文化、あつ~い東南アジアの様子をつづる手作り記。話題が一国だけで留まなくなってきたためリニューアルしました。

タナカ研究(1) Thanakha

タナカ愛好家としてずっと疑問に思ってきたこと…、こんなに樹木を伐採してもい~んだろうか、という疑問。ミャンマーの開発・経済発展はめまぐるしく進行中。ほとんど得ることができなかったミャンマーニュースも毎日のように日本のミャンマー支援・進出を中心に流れてきます。

かつてヤンゴンから北に向かって車を走らせれば、ガタガタ道とジャングル状態が延々と続いていたピンマナーに、あれよあれよという間に首都ネピドーが作られました。あの森はどこへ消えてしまったのか、嘘のようにはげ山だらけになってしまい、でこぼこ道はコンクリートの国道に変わっています。今ではヤンゴンからマンダレーまでほぼノンストップで国道をぶっとばせ、8時間そこそこでついてしまうほど便利になりました。

某国が根こそぎミャンマーの資源をもって行っちゃった、と不満げなミャンマー人は少なくありませんが、開発と自然環境破壊は世界中どこの国でも見られる事で、こればかりはミャンマーだけを責められるものじゃありません。





(国道から見える風景)



これだけ民族が多種多様なミャンマーですが、全国どこでもタナカは使われているようで、ほっぺのくるくるペイントがミャンマー人の証のようなものです。隣国でも美容材料に利用されているようですが、ミャンマー人のような塗り方はしてない。ニセモノ(主にタマリンドの木)も多いですが、全国どこでもタナカが山積みされて売られてます。

大好きなミャンマーの伝統文化を悪くいいたくないけれど、こんなに木を伐採してたらますます自然環境破壊につながるんじゃないだろうか…、という疑問や後ろめたさがどーしても残ります。

一方、タナカの消費が減ってくる可能性もあります。開発と経済発展につきものなのが、生活や文化の劇的な変化。昔ながらの習慣や民間療法などが科学的でないと否定され、若者は恥ずかしいと言って捨て去ろうとするのも、きっとミャンマーに限ったことじゃあないでしょうね。

経済界ではミャンマーを"最後のフロンティア"と呼んでいるようですが、私は個人的に"人間らしく生きれる最後のユートピア"だと思っていましたので、非常に複雑な気分です。苦しい生活の人々には楽になってもらいたいと思いますしね。都市部を中心に若者の「タナカ離れ」も進んでます。

スーパーの美容関連品コーナーには、ばっちりコスメのおねぇちゃんがスタンバイし、テレビやDVDの芸能人はあっという間に色白に変わり、何人だかどこの国の番組だか分からなくなりました。大人気の韓国・中国ドラマにタナカを付けてる女優・俳優はおりませぬ。

貞操あるミャンマー人の美しさもタナカ美人もそのうち消えてなくなるんでしょうな。…ということは、自然環境破壊を思えばタナカ消費の減少は良いことなのかしらねぇ。しかし、タナカが育つ地区はミャンマーで最も過酷な暑さと雨量の少ない乾燥地帯と聞くし、タナカ産業で支えられてきた村の人たちはどうなるんだろうか…。いろんな憶測で疑問が疑問を呼びます。

何とかタナカ離れを防ぎ、タナカ産業を盛り立て、自然破壊がないよう植樹をしたらどうだろうか。ミャンマー最大の投資国タイではタナカの美容効果研究が進んでいますが、そんなことを知らぬミャンマー人はタナカからすっかり離れ、その素晴らしさが科学的に公認された折にはすでに遅し、海外企業にタナカをまたもや根こそぎ持って行かれてあとの祭りのようなことになってしまいはしないか!!

とうとう私の頭はこんなところまで仮説を展開して暴走。
よしっ!百聞は一見にしかず、タナカの村に行こう!

(つづく)